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JECT ONE 人形町ビル
[東京都中央区/オフィスビル]

設計・監理:KADA一級建築士事務所

人形町に息づく独特な小路文化のエッセンスを組み込んだオフィスビル

人形町は、区道、私道、通路が織り交ざって構成され、その中には敷地の一部を開放した生活道路も実在する独特な小路文化を持つ地域。この生活風景が色濃く残る小路文化を1つのエッセンスとして組み込む計画としました。また、屋外避難階段を接道面ではなく敷地奥へと引き込み、一筆書きのように建物外周へ巡らせることで、ファサードデザインへの制約から解放し、屋上まで続く立体的なシークエンスを獲得しました。
建物から漏れ出す光は、人形町の夕景の中で行燈のように街へ溶け込み、旗竿敷地での新たな佇まいを魅せる建築と成りました。

土地が持つ課題に向き合う

「人形町・浜町河岸地区地区計画」による制限の中で、最大容積のボリュームでありながら、天空率によりカットした角を曲線とする事で、屋外避難階段にシームレスな繋がりをもたらし、隣接建物との余白空間も取れました。さらに外観をドレープの様な波型の外装材で包む事で、建物の大きさが与える圧迫感を軽減し、柔らかく軽やかな印象としています。

伝統と文化を内包

『吉祥文様』は、自然の美しさや四季折々の情趣を尊ぶ心から着想された伝統的なデザインです。人形町に馴染み、現代のバイオフィリアの概念にも通底している『吉祥文様』をデザインエッセンスの1つとして採用しました。
敷地奥の部分で塔状建築となる構造計画において、梁の高さを抑え各階の天井高を確保するために、十字に組まれた梁の4方向に柱間を渡すことで、三角形状に交差した梁により織りなされる鱗文様。外観を包むドレープパネルに水玉柄を配し表現した立涌文様、フロア材で表現した市松文様や、エントランスホールの壁面に配した亀甲文様など、建物全体に散りばめられた『吉祥文様』が町とオフィス利用者の日々を彩ります。

審査員の評価コメント
不動産と建築の両者の視点から、オフィスビルの在り方を考察し旗竿敷地での新たな可能性を導きだしたプロジェクトである。建築基準法によるさまざまな与件やオフィスビルに求められる機能。それらの課題を制約としてではなく、包括的に捉え、ファサードデザインや立体的なシークエンスを展開する街からつながる道としてデザインに組み込み、建築の個性や魅力につながるようボジティブな思考で解決が図られている。 土地のもつ成り立ちを引き継ぎ、潜在的な記憶を残しながら現代的な解釈で再考、再編集することは、土地の価値を守り、都市生活を豊かにするものであり旗竿敷地の活用において間口を広げる事例として評価した。

JECT ONE 人形町ビル 紹介動画